▼「世にふるも」句文懐紙
山形市指定有形文化財「世にふるも」句文懐紙 芭蕉 筆
句:「世にふるも更に宗祇のやどりかな 芭蕉」
 この世に生きるという事は、宗祇法師が「時雨の時の雨やどりの様だ」と詠んだ様に、本当につかの間のことよ。まことに無常だ・・・
 句は、宗祇(15世紀の連歌師)の句「世にふるも更に時雨のやどり哉」へのオマージュ(敬意を示した作品)です。宗祇の人生は諸国へ旅に明け暮れました。芭蕉が目標とした詩人の一人です。
 宗祇の句は「人生は、時雨(冬のはじめにさっと降って通りすぎる冷たい雨)に雨宿りをしているようなもので、ほんのみじかい時間に過ぎない」という意味です。芭蕉はその句の「時雨」を「宗祇」に入れ替え、自分も宗祇と同じ思いを持って旅をするよ、という意味です。
 前書きの文では、中国8世紀の詩人杜甫や11世紀の蘇東坡の旅に思いをはせ、また、12世紀日本の歌人西行に倣(なら)って自ら旅の笠を手作りする、という旅で文学を深めた先達への思いを記しています。

Yo ni furu mo (Life in this World),
haiku poem and ommentary
Matsuo Basho
yo ni furu mo / sara ni Sogi no / yadori kana
life in this world / just like a temporary shelter / of Sogi’s*
→画像[ ]
2023:山寺芭蕉記念館

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